シンガポールでの就労ビザ取得・商用出張ビザ情報

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シンガポールでの就労ビザ取得・商用出張ビザ情報

シンガポールに長く駐在していると、日本からビザに関しての問い合わせを受けることが多い。
確かにシンガポールの就労に関するビザはいろいろと面倒で、頭を抱えることもあるのは事実だ。
という訳で、シンガポールのビザ、特に日本からのシンガポール出張やビジネスに関する備忘録。
あくまで執筆時点の情報なので悪しからず。

「商用」出張について

シンガポールは「商用出張ならばビザ不要」というのはある意味正しい。
ただし「商用」の意味に注意する必要がある。
そもそもシンガポールはMOMの許可なしでの国内での外国人の就労・労働は禁止だ。
その例外として「会社の会議やミーティング、参加者としてのセミナーやワークショップ、展示会への参加等」はMOMへの通知や許可申請を免除される。
この場合だけがビザを免除されるケースだ。

つまりMOMの就労許可なしで、日本人が出張レベルであってもシンガポールで有料のセミナーを主催したり、テレビ番組の撮影、展示会での出店、機械のメンテナンスや修理、インターン業務、建築や生産に関わる業務を行うのは厳密に言えば短期出張・長期出張に関わらず全てNGだ。
このような業務に携わる場合は後述のEPやS Passという就労ビザが必要だ。
詳細はこのMOMからの情報を参照して欲しい。

Eligible activities for a work pass exemption
You can work in Singapore for a short time without a work pa...

就労許可なしでシンガポールで活動することは違法であるので絶対にしてはいけない。
仮に事故やトラブルに巻き込まれたときに、面倒なことになりかねない。
たまに報道で日本の社員をシンガポールに短期間派遣している企業が紹介されることがあるが、ちゃんと手続きしているのかなと他人事ながら心配してしまう。

観光・短期出張

日本人の場合、観光目的または前述のような会議や打ち合わせ等の商用であれば、ビザなし(Short Term Visit Pass – STVP)で入国ができる。
Short Term Visit Passというのはシンガポール入国時にイミグレに提出する白い紙(DISEMBARATION/EMMBARKATION FORM FOR VISITERS)のこと。

入国カードへの記入方法は下記の記事を参照して欲しい。

【オンライン申請対応】シンガポールの出入国カードの書き方と入国審査トラブルあれこれ
シンガポールの出入国カードの書き方と入国審査トラブルあれこれ オンラインで電子化された出入国カード申請をする場合 いくつ...

空路での入国であれば基本的に30日の滞在許可が下りる。
ただマレーシアのジョホールからシンガポールに陸路(車・バス・電車)で入国した場合、バタム島などインドネシアから海路(フェリー)で入国した場合は基本的に14日の滞在許可になる。
とはいえ日本人だと30日の滞在許可になることも多い。そのあたりは入国審査官の裁量と思われる。
ただし、シンガポールにおいてビザ延長目的の入出国(所謂ビザラン)は違法なので注意すること。

長期出張

長期出張の場合、基本的には駐在と同様に後述のEPかS-Passと取得する必要がある。
ただし、前述のような「会社の会議やミーティング、参加者としてのセミナーやワークショップ、展示会への参加等」程度の業務であれば、「Extension of Short Term Visit Pass (e-XTEND)」で滞在延長申請がオンラインでできる。

https://extend.ica.gov.sg/extend/index.xhtml

最大で30日の延長(計60日)、もしくは指定病院での療養目的であれば計89日まで延長可能だ。
ビザの延長が必要になった場合は、最初に付与された30日のビザが切れる前にこのサイトで申請しよう。
申請時に現行のビザの有効日数が2日以下だと申請できない。
また何らかの理由で許可が出ないケースもあるので、その場合は出国することとなる。

さて、このe-XTENDを取得しても注意が必要だ。
e-XTENDで延長した後に、シンガポールから出国すると延長した分のビザは無効になり、さらに5日間シンガポールへの再入国ができなくなる。
これを知らずに週末ジョホールに遊びに行ってしまい、シンガポールに戻れなくなった事例もあるので十分に注意して欲しい。

また、最近何故か許可が出ないケースがある。
MOMは基本的に申請のリジェクト理由は開示しないので、理由は不明。
日本から社員を送ったあげく、e-XTENDがリジェクトを喰らい、人員派遣計画を大幅に見直す羽目になった例もあるので注意して欲しい。

特定の職業向け就労ビザ(Miscellaneous Work Pass)

特定の職業やイベントの主催者向けに最大60日間の就労ビザ「Miscellaneous Work Pass」が存在する。
対象はセミナー、会議、ワークショップなどの集会における、主催、講演業務などだ。
また、宗教活動に関連する講演者、シンガポールを取材するジャーナリスト、レポーター、それに同伴するクルーなどが対象だ。
詳細は下記を参照して欲しい。

Miscellaneous Work Pass
The Miscellaneous Work Pass is for eligible foreigners on sh...

就労ビザ(EP、S-Pass)

シンガポールにおける就労ビザの種類やその発給の可否は、「学歴×給与×年齢×職務経験」この4つのパラメーターで決まる。
一般的に駐在している日本人が持っている就労ビザは下記の「EP」と「S-Pass」2種。

EP

EP(Employment Pass)は高度な専門職、管理職、役員を前提にした就労ビザで月額固定給が3,600SGD以上必要。
 基本的に大卒以上の学歴をもつ人物が対象。
 注意点は年齢が上がるほど、要求される月額固定給もあがる。
 新規取得時は最大2年、最初の更新からは最大3年有効。
Employment Pass
The Employment Pass allows foreign professionals, managers a...

S-Pass

S-Passは中級レベル以上の技能者を前提とした就労ビザで月額固定給が2,200SGD以上必要。
 職務経験があり、1年以上のフルタイムの専門課程で学んでいることが望まれる。
 EPと同様、年齢が上がるほど、要求される月額固定給もあがる。
 最大2年有効。
S Pass
The S Pass offers flexibility to employers to hire skilled w...

上記はあくまで目安で、ケースによって発給の可否にバラツキがある。
高卒でも日本で十分な経験と管理職以上の役職、ある程度の給与を得ていたのであれば、EPが取得できることもある。

このあたり、MOMが「Employment / S Pass Self-Assessment Tool (SAT)」という、取得の可否及び取得できるパスの種類を診断できるツールを出している。
ただし、あくまで目安なので注意が必要。

Employment / S Pass Self-Assessment Tool (SAT)
Use the SAT to check if your candidate qualify for an Employ...

これはある種、社会における自分のスペックを判定されてしまう、ドライというか何とも凄いツールとも言える。

一時期、社内で駐在達がコソコソと自分の学歴や年収などを入力して、ニヤニヤしたり頭を抱えていたりしていたが、すでにパスを持っている人間がそれを気にしても仕方ないだろうに。…自分も調べたけどね。

EPとS-Passの違い

EPホルダーとS-Passホルダーとでシンガポールにおける実生活には差異はないようで微妙にある。
まずはパスの取得と更新時にS-Passホルダーは胸部X線とHIVの検査が義務づけられている。
当然HIVの陽性反応が出たら日本に強制帰国。
パスの更新の度にドキドキする羽目にならないよう、節度を守ったナイトライフを心がけよう。
いるんだよね、東南アジアに駐在した途端にはっちゃける人が。
またS-Passホルダーの場合、携帯やネット回線の契約回線数やプラン、契約期間が制限されるケースがある。
さらにEPホルダーの帯同DPホルダーは「LOC(Letter of Consent)」という申請をすれば、シンガポールでの就労が可能だが、S-Passホルダーの帯同DPホルダーは就労できないので注意。

http://www.mom.gov.sg/passes-and-permits/letter-of-consent

最低固定給について

さてEPを例に挙げると必要な固定給は最低3,600SGD。これは執筆時点のレートで約30万円。
日本の大卒初任給平均が20万程度ということを考えると、結構きついように見える。
しかしながら駐在の場合、クソ高いシンガポールの住居費を会社が負担しているケースがほとんどで、これを固定給に算入しても問題ない。
部屋の大きさや場所によって家賃は様々だが、金融系や大手商社などの駐在を除けば、一般的な駐在は2,500〜3,500SGDがボリュームゾーン。
これを固定給に算入できるのであまり心配はない。
ただし独身ならばだ。
帯同する家族がいる場合、話が変わってくる。

DPパス(Dependant’s Pass)

EPとS-Passホルダーに帯同する配偶者や子供(21歳以下)がいる場合、その家族に発給されるのがDPパス

Dependant's Pass
The Dependant's Pass allowsspouses and children of Employmen...

そのDPパスを取得するには、EP・S-Passホルダーともに最低月額固定給が5,000SGD以上が必要となる。
さらに、それが2018年1月1日から6,000SGDに引き上げられることが決まっている。

こうなると高卒・短大・高専卒で職務経験数年程度の既婚の若者を帯同でシンガポールに駐在させることは、給与水準にもよるがかなり厳しくなる。
将来有望な若手に早いうちにシンガポールで国際経験を積ませることは素晴らしいことなのだが…。残念。
まぁ、外国はシンガポールだけではないので、インドあたりでチャレンジしてもらおう。うん。
もちろん単身赴任してもらう手もある。

そんな事情のせいか、最近はどこの業界でも日本から来る駐在の高齢化が進んでいる印象を受ける。
50歳を過ぎてからのシンガポール駐在というのを良く聞くようになってきた。
帰国の挨拶に来てくれた取引先の30代駐在の後任が、40代後半ということも。
きっとこの世代はバブルを経験しているので、給料も良いのかもしれない。ちくしょう。

話を戻そう。
さらに、何らかに事情で日本にいる親を帯同しなければならない場合は、最低月額固定給が10,000SGDとなる。
これも2018年1月1日から12,000SGDに引き上げられた。
もう、ここまで来ると、一般サラリーマンが親を連れてシンガポールに赴任するのは不可能だと思う。
そもそも「海外駐在=親の死に目に会えない」というのも事実なので、そのあたり駐在希望者は覚悟をした方が良い。

最後に

シンガポールの就労ビザについては頻繁な変更が多く、基本的に年々取得が困難になっている。
このブログのような適当な情報だけではなく、MOMの最新情報をきちんと確認した上で、取得の参考にして欲しい。

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