正しいAirTagの使い方?|北海道まで大追跡!子供の見守りはできるのか?
AirTagで子供や老人、ペットの見守りは可能か?
Appleから発売された忘れ物防止トラッカー「AirTag」を購入して1週間が経った。
これまで他社のトラッカーを使ってきたのだが、明らかにAirTagの方が満足度が高く、買って良かったと思っている。
iOSの「探す」と連動したシンプルな操作性、そして世界中のiPhoneなどのiOSデバイスがAirTagの位置情報をiCloudに送信することにより得られる精度の高い位置情報は、これまでの同種の製品を凌駕している。
これらの情報は暗号化されるためプライバシーは守りつつ効率が良く、バッテリー(電池交換式)駆動期間も約1年と実用上全く問題のないレベルになっている。
この素晴らしいAirTagだが、忘れ物防止トラッカーとしてだけではなく、子供や老人、ペットの見守りに使えないか?という声が多くある。
小型でバッテリーが長寿命となれば、確かにその用途は十分に考えられる。
Apple自身は「子供やペットの追跡のためのデザインはされていない」としている。
この「デザインはされていない」根拠だが、AirTagは持ち主を離れて3日間が過ぎると、音を出して存在を知らせる機能があることを指しているようだ。
また、他人が所有するAirTagが一定期間近くにあった場合、自分のiPhoneに警告がでるようになっている。
その場合、不審なAirTagを見つけた人は、そのAirTagを無効化して位置情報の共有を停止することもできる。
詳細は下記のサポートページを参照して欲しい。
さて、これらの仕様上の配慮をもって「子供やペットの追跡のためデザインされていない」とはしているが、実際には毎日顔を合わせる同居家族やペットには使えてしまうのだ。
持ち主を離れて3日間が過ぎると音を出して存在を知らせる機能も、鳴っている時間は15秒程度で、しかも数時間起きに鳴るに過ぎないので機能としては限定的だ。
これらのことからストーカー対策が不十分という声も多い。
AirTagを使った追跡を恐れるのであれば、スマホをiPhoneにする必要があるかも知れない。
何故ならAndroidスマホではAirTagによる追跡の警告表示を受け取れないからだ。
今後、Appleがどのように仕様を変更していくのかは不明のため、あくまで現時点での話ということだが。
長距離の荷物の追跡は?
さて、人間やペットの追跡以外のAirTagの使い道として荷物の追跡がある。
と言っても、これは財布やバッグと言った身の回りの品の話ではなく、小包や宅急便のようなある程度の大きさと移動距離がある荷物を想定しての話だ。
前述のように持ち主の元を離れたAirTagは3日後には、ブザーを鳴らすので安易に使うことはできない。
その一方で、日本の発達した物流網においては3日もあれば、大抵の場所に届けることができる。
というわけで、試しに自宅のある神奈川から北海道の筆者の実家まで、AirTagを送る実験をしてみた。
今回は4個セットのAirTagを買ったのだが、2つは自分の財布とバッグに、1つは嫁さんにプレゼントして、まだ1つ余っているのだ。
実家とは時折荷のやりとりをしているが、ほぼ確実に中一日で送付ができているので、配慮さえすれば問題なく3日以内に到着するはずだ。
どの程度実際に精度(位置情報や更新頻度)を長距離移動の中で得ることができるのか楽しみだ。
直線距離で850Kmの大追跡のスタートだ。
【1日目】AirTagを発送
9時00分
確実に3日以内に都内から北海道に送り届けるため、素早く発送してくれると思われる運輸会社の営業所へAirTagを入れた箱を持ち込んだ。
実家での荷物の受け取りが不在でも問題ないようにするため、郵便受けに投函できるタイプのサービスを利用をすることにした。
もちろん伝票の品名は「AirTag」と記入した。
営業所から少し離れたところで、AirTagのステータスが「自分が所持中」から「0.2Km」に変わった。
店員さんにiPhoneユーザーがいるのか、それとも人通りの多い駅前の店舗のためか、およそ10分置きにAirTagの位置情報がアップデートされる。
「探す」上では営業所のある建物をピンポイントで示し続けており、かなり高い精度が得られている。
12時43分
昼食を食べ終えたところでAirTagの位置をチェックすると、発送した営業所から1Kmほど離れた別の営業所に場所が移っていた。
この営業所の方が大きいので、ひょっとするとこのエリアのハブの様な存在なのかも知れない。
10分置きくらいの頻度で位置情報は更新はされていたが、ここからしばらく動きがない状態が続く。
18時44分
そろそろ夕食を…のタイミングで動きがあった。
AirTagは幹線道路を移動し始めた。
移動中の位置情報の更新は5分から20分程度での頻度で、更新の度に2、3km程度位置が動いていた。
リアルタイムで位置情報を取得できるというほどではないが、位置情報は道路上を示し続け、十分な精度と頻度が得られている。
19時48分
AirTagはどんどん街中を離れ、1時間ほどで移動が止まった。
止まった場所はとある工業団地だ。
地図で場所を調べてみると、運輸会社の巨大都市間物流拠点だった。
「探す」で表示されるAirTagの現在位置住所と、物流拠点の住所はばっちり同一。すごいな。
しかし、この施設に入った直後に位置情報の更新は途絶えてしまった…。
【2日目】津軽海峡を越えて北海道へ
07時00分
起床後、早速「探す」でAirTagbの位置を確認したが、昨夜の19時48分の位置情報更新から全く変化がない状況となった。
すでに物流拠点内でコンテナやトラックに積み込まれ、AirTagとその周辺のiPhoneとのBluetooth通信が途絶えてしまっている可能性が高い。
陸路、海路、空路、どのルートで神奈川から北海道に向かっているのかは把握できない状況だ。
どんどん北海道に近づく様子が「探す」で見られれば面白かったのだが、そうもいかないようだ。
20時25分
状況がいきなり動いたのはAirTagが神奈川の物流拠点に到着してから丸一日が経った2日目の夜だった。
いきなりAirTagの位置が北海道札幌市厚別区になったのだ。
追跡が途絶えていたこの24時間の間に、AirTagは本州を抜け、津軽海峡を越え、ついに北海道に上陸していたのだ。
住所は札幌にある運輸会社の物流拠点と同一だ。
ついに850Km離れたAirTagを補足できた。
【3日目】北海道の実家に到着。そして初期化
05時00分
昨日のうちに札幌の物流拠点に着いたAirTagは、早朝のうちから近郊にある実家に向かって移動を始めた。
運輸会社さんの朝早いのだなと、変に感心してしまった。
移動自体も追跡はできており、幹線道路沿いに15分間隔程度で現在位置が更新され続けた。
12時20分
そのうちAirTagは札幌市内を抜けて、実家近くの営業所に到着した。
そこからの位置情報は数分おきの更新となり、リアムタイムに近い頻度となった。
すぐにAirTagは営業所から、実家に向かって移動を始めた。
当然、途中で数多くの荷を届けているワケなのだが、その移動の様子も手に取るように把握できる。
配達員さんは住宅街を隈なく、無駄なく巡回している。
そしてAirTagの位置が実家付近となったタイミングで、待機していた弟にLINEを入れる。
弟「まだ来てないよ?」
筆者「あれ?」
弟「あ、たった今来た」
おお!なかなかのリアルタイム。これにてAirTagの追跡実験は完了だ。
あとは、後始末として送ったAirTagを筆者のiPhoneの「探す」から削除し、Apple IDの紐付けを解除、初期化するだけだ。
これによって筆者のiPhoneとAirTagの接続は完全になくなり、追跡はできなくなる。
紐付けが切れたAirTagは初期化された状態となるので、今後は新しい持ち主である筆者の弟に使われることになる。
が、ここで何故かこの作業が上手くいかず、手こずった。
これは弟のiPhoneのiOSのバージョンが14.4であること原因だった。
AirTagはバージョンが14.5以降でないと、対応していないのだ。
14.5以降のiOSはリリースされたばかりで、弟のiPhoneようにアップデートされておらず、AirTagとの通信ができていないiOSデバイスは世の中にかなり多いはずだ。
それで、これだけの追跡精度なのは凄いことなのでは…。
今後、世にあるiOSデバイスがアップデートされるごとにAirTagの追跡精度は、座標や更新頻度において凄まじい勢いで向上していくのではないだろうか。
弟は早速iOSのアップデートを開始してくれた。
弟「時間がかかりそうだから、飯を食いに出て良い?」
筆者「どうぞどうぞ」
十数分後、AirTagの位置は実家ではなく近所のうどん屋を指し示した。
…筆者もうどんが食いたくなってきた。
無事「探す」を使った遠隔でのAirTagの初期化も完了し、あとは弟に好きに使って貰うだけだ。
これにて、直線距離で850Kmを越える、神奈川−北海道間のAirTag大移動実験は完了だ。
GWの良い暇つぶしになった。
最後に
AirTagを受け取った弟が真っ先に出した言葉がこれだ。
弟「これ、子供の見守りに使えるね!」
子を持つ親としては、AirTagの機能を目の当たりにすると、そう考えるは自然と思う。
前述のように、Apple自身は推奨はしていないが、同居する子供やペットの追跡には十分に使えるのは事実で、これを他人に悪用する人間が出てくることも否定はできないように思う。
革新的なデバイスが生活を便利にする一方で、新たな問題を生み出すことも事実で、今後このAirTagとそのユーザー(筆者も含めて)がどのように社会と折り合いを付けていくのか、興味深かったりもする。
読者諸氏には、配偶者や恋人のバッグや財布にAirTagを入れるような真似はしないことをおすすめする。
やられた側のショックは大きいものがあると思うし、当然信頼関係にもヒビが入るのは間違いない。
何よりも、相手の行動を盗み見て、幸せになれることなんてないのである。
あれ?そういや、筆者が嫁さんに渡したAirTag、今どこにあるのだろう?
まさか…。
いやいや、後ろ暗い行動なんて筆者にはないんだけども…ね?
以上、AirTagの正しい使い方(?)と北海道間のでの大追跡実験の備忘録。
コメント